アメリカ経済指標の予想上振れでビットコイン急落、10万ドル割れ

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概要

アメリカ経済指標の堅調が市場を揺るがす

アメリカ労働市場データやサービス業景気指数が予想を上回り、米国経済の堅調さが強調された結果、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退。これがリスク資産であるビットコインを含む暗号資産市場全体に大きな下押し圧力をもたらしました。

ビットコインと主要アルトコインが急落

月曜に10万ドルの大台を超えたビットコインは、火曜日には9万7800ドルまで下落。イーサリアムやソラナなど主要アルトコインも同様に大幅下落し、暗号資産市場のデリバティブでは約3億ドル相当のロングポジションが清算される事態となりました。

利下げ期待の後退でリスク資産に厳しい環境

市場ではFRBによる早期利下げの期待が一層薄まり、金利低下がリスク資産を支える可能性が減少。暗号資産関連株も急落するなど、市場全体が厳しい状況に直面しています。

ビットコイン、10万ドルを割り込み急落

1月8日BTC/USDチャート

火曜日、アメリカの経済指標が予想を上回り、暗号資産市場が揺さぶられる中、ビットコイン(BTCUSD)は10万ドルの心理的節目を割り込み、大幅な下落を記録しました。この動きは、アメリカ経済の堅調さが強調され、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを行う可能性が一段と低下したことを背景に起きました。

アメリカ経済指標が市場に与えた影響

11月の求人件数を示す雇用動態調査(JOLTS)は、予想を大きく上回る810万件を記録。アナリストの予測770万件からは大きく外れ、前月の780万件を上回りました。同時に発表された12月のISM非製造業購買担当者景気指数(PMI)も54.1と市場予想の53.3を超え、前月の52.1を大きく上回る結果となりました。また、仕入れ価格指数は64.4と急上昇し、インフレ圧力の継続を示唆しました。

これらの指標により、アメリカ10年物国債利回りは4.68%に上昇。債券市場の動揺を受け、株式市場も影響を受け、ナスダックは1%以上、S&P500は0.4%下落しました。

ビットコイン、心理的節目を割り込む

こうした背景の中、リスク資産であるビットコインも急速に下落。月曜日には約3週間ぶりに10万ドルを超え、10万3000ドル近くまで上昇していましたが、火曜日には一時9万7800ドルまで下落。24時間で4%の下落幅を記録しました。主要アルトコインもこれに追随し、イーサリアム(ETH)は約7%、ソラナ(SOL)は8%近く下落しました。

暗号資産市場全体の急落により、市場では約3億ドル(約474億円)のロングポジションが強制清算される事態に。これは2025年初頭の市場で最大規模のレバレッジ調整となりました。

利下げ期待の後退とリスク資産への影響

FRBの利下げ観測は、今回の強い経済データを受けてさらに後退。CMEのFedWatchツールによると、3月の会合での利下げ確率は1週間前の50%から37%に低下しました。さらに、2025年を通じての利下げ予測も、投資家はわずか1回の25ベーシスポイント利下げしか織り込んでいない状況です。

このような状況では、金利低下の可能性が薄れるため、暗号資産などのリスクオン資産は下落しやすくなります。FRBの過去数回の利下げが市場を下支えしてきましたが、インフレ圧力が続く限り、さらなる緩和策のペースは鈍化する可能性が高いと専門家は警告しています。

仮想通貨関連株への波及効果

仮想通貨市場の動揺は関連株にも影響を及ぼしました。ビットコインを保有するマイクロストラテジー(MSTR)は10%下落、コインベース・グローバル(COIN)は8%の下落を記録しました。さらに、ビットコインマイナーのマラソン・ホールディングス(MARA)は7%の下落に見舞われました。

今後の市場見通し

Ballinger Groupのカイル・チャップマン氏は、「投資家は現在、2025年全体で大幅な利下げは期待しておらず、金利の引き下げが緩やかなペースにとどまる中で、リスク資産への資金流入は限定的だ」と指摘。利回りが高い債券市場がますます魅力的になるため、仮想通貨市場にとって厳しい環境が続く可能性を示唆しました。

ビットコインが再び10万ドルの大台を回復するには、米国経済のデータが軟化し、金融緩和への期待が高まる必要がありそうです。短期的にはさらなる調整が見込まれる中、投資家は慎重な姿勢を求められています。

まとめ

米国の経済指標が予想を上回り、ビットコインなどの暗号資産市場が大きな影響を受けました。11月の求人件数や12月のサービス業景気指数が堅調な結果となり、FRBによる早期利下げ観測が一段と後退。これを受け、ビットコインは火曜日に10万ドルを割り込み、下落しました。

主要アルトコインも軒並み下落し、イーサリアムやソラナが6~8%の下落を記録。仮想通貨市場では約3億ドルのロングポジションが清算されました。さらに、暗号資産関連株もマイクロストラテジーが10%、コインベースが8%下落するなど、影響は広がっています。

利下げ期待が後退し、金利が高止まりする中で、リスク資産への資金流入は抑制される見込みです。ビットコインが再び10万ドルを回復するには、米経済の指標が弱まり、金融緩和への期待が再び高まる必要があるでしょう。当面、厳しい市場環境が続く可能性が高いと見られます。

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