ドル円相場は、円を積極的に買い進める要因が乏しいため、ドルの下値は引き続きしっかりと支えられそうです。ただし、市場では2日続けて7月31日の高値を超えられなかったという事実は残っています。
概要
- 米国財務省の債券利回りが上昇した影響で、ドル円は153円台をキープしている。
- 価格の動きには少し疲れが見え始めていますが、売りを狙うには材料不足。押し目買いを狙う動きがまだ強く感じられる。
- 衆議院選挙がドル円に与える影響
- 米国のJOLTS求人調査が発表されると、米国経済の強さを示すシナリオに対する初めての大きな試練となるでしょう。
米国金利と連動するドル円、短期債との逆相関で高値更新
ドル円は売りよりも買いの姿勢が強いく、153円台をキープする動きが見られます。しかしながら主要な経済指標の発表や月末の資金移動、さらに米国の選挙が迫っているため、ドルの上昇後に利益確定の売りが出やすい状況です。短期的な反転のリスクにも注意が必要です。
ドル円は、米国の金利動向に強く影響されており、特に過去2週間は米国2年債先物と逆の動きをする傾向が見られました。米国短期債が特定の方向に動くと、ドル円はほとんどの場合その逆をたどり、米国債の利回りの影響が表れています。
月曜日には、ドル円が数カ月ぶりの高値まで急上昇しました。これは米国財務省利回りの上昇に加え、日本の政治情勢が、財政や金融政策の拡大に向かう可能性が高まったことも要因となっています。
衆議院選挙後の連立交渉に注目、円安リスクも
衆議院選挙で与党が過半数を取れなかったため、新しい連立政権の形がどうなるか不透明です。11月11日の特別国会の召集まで、与党と野党の動きが注目されます。
特に、現与党が連携を期待する維新と国民民主の動向が焦点です。両党は低金利を維持する政策を望む可能性があり、これが金融引き締めを遅らせ、円安の要因になるかもしれません。また、日本の政治情勢は欧米から見て分かりにくい部分が多く、与党が厳しい状況にあることも影響して、ニューヨーク市場では円が積極的に買われる展開にはなりにくいでしょう。
9月JOLT求人調査に注目、ドル円の下落リスクも
今週発表される米国の主要経済指標のひとつ、9月のJOLT求人調査について、市場は大きな動きには慎重な姿勢です。8月の予想外の増加があったため、今回は求人数が500万~799万程度とわずかに減少すると見込まれています。この調査は月ごとに大きな変動があるのが特徴で、2022年後半以降は連続的な増加は見られていません。
そのため、JOLT調査の結果が予想よりも弱ければ、米国債利回りが下がり、ドル円も下落する可能性があることを示唆しています。
まとめ
ドル円は米国債利回りの上昇に伴って153円台まで上昇しましたが、円買い材料が不足しているため、ドルの下値が堅く推移する見込みです。市場では直近の高値を超えられなかったことから、円売りの勢いは一時的に弱まりつつあります。
また、ドル円は米国の金利動向に影響され、特に米国2年債先物と逆相関する傾向が見られます。米国のJOLTS求人調査が予想を下回れば、米国債利回りが低下し、ドル安・円高のリスクが高まる可能性があります。
さらに、日本の衆議院選挙では与党が過半数を獲得できず、連立交渉が焦点に。維新と国民民主は低金利維持を望む可能性があり、これが金融正常化の遅れと円売りにつながるリスクも含んでいます。複雑な政治状況も相まって、ニューヨーク市場では円が積極的に買われにくい展開が予想されます。