【2025年7月28日】ユーロ急落、背景に米EU貿易合意と市場の現実的な失望感

ユーロが1.3%の大幅下落 —— 5月以来の最大幅
7月28日の為替市場で、ユーロ(EUR/USD)はドルに対して大幅に下落し、1.1590ドル台まで下落。これはおよそ2カ月ぶりの大きな値下がりで、前日比で約1.3%安というインパクトのある動きでした。
この下落のきっかけとなったのは、米国とEUの間で合意された新たな貿易協定です。報道によれば、米側が主導する形で交渉が進み、欧州企業にとっては決して楽観できない内容になったと受け止められています。
合意内容に市場は冷ややかな反応
貿易協定自体は一見ポジティブな材料にも思えますが、今回の市場の反応は「期待はずれ」そのものでした。
理由は大きく2つ。
- ① 米国有利な内容だった
米国からの輸出品に対する関税が優遇される一方、EU側の見返りは限定的。とくに欧州製造業にとっては恩恵が薄いとされ、経済成長への貢献が限定的との見方が広がっています。 - ② ユーロ圏経済の不透明感が拡大
一部の市場関係者からは、「今後のユーロ圏の経済回復シナリオが崩れるリスクがある」との指摘も。さらに、インフレ再燃の可能性や、ECB(欧州中央銀行)の政策スタンスに対する不信感が再浮上しています。
テクニカル的にも売り圧力が強まる展開
今回の急落により、ユーロドルは重要なサポートラインを割り込んだとの指摘も出ています。
- 1.1620〜1.1600付近の節目を明確に下抜けたことで、テクニカル的には中期的な下落トレンドへの転換シグナルと見るトレーダーも多く、今後は1.1500割れを試す展開も想定されます。
また、CFTC(米商品先物取引委員会)のポジションデータからも、ヘッジファンド勢によるユーロショートが増加傾向にあることが示唆されており、売りに勢いが出やすい地合いといえるでしょう。
日本人トレーダーが注目すべきポイント
日本の個人トレーダーにとって、このユーロ急落局面は「短期的なトレンドフォローの好機」ともいえます。
✅ チェックポイント:
- ECBの今後の発言に注目:利下げを示唆するか、あるいは為替への言及があるか。
- 米ドルの堅調さとの兼ね合い:ドルインデックスが高値圏を維持しており、ユーロ売り+ドル買いが両面から進む構図。
- ユーロ円の動向:クロス円としてのユーロ円にも注目。リスクオフ局面ではユーロ円も下落圧力が強まりやすい。
ユーロは「売られやすい」フェーズへ、反発は限定的か
今回の下落は一過性というより、ユーロに対する根本的な評価の変化を示している可能性があります。特に米国経済が強さを保つ中で、ユーロの相対的な弱さが意識される展開となれば、下落トレンドはしばらく継続する可能性が高いでしょう。
短期的なリバウンド狙いよりも、「戻り売り戦略」を検討する局面と考えられます。
編集部コメント
今回のユーロの急落は、ただの経済指標による値動きとは異なり、欧州と米国のパワーバランスの変化を市場が織り込み始めたサインとも言えます。長期視点でも通貨間の力関係に変化が見られる今、トレーダーは柔軟な視点を持って対応していく必要があります。