ユーロに圧力〜ECBの利下げ観測とインフレデータがEURクロスを揺さぶる〜

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概要

EUR/JPYは165.00以下で停滞

投資家がドイツとユーロ圏のインフレデータを待つ中、EUR/JPYは165.00を下回る狭い範囲で推移。ECBの利下げ観測がユーロを圧迫中。

EUR/USDはパリティリスクに直面

ECBによる今年4回の利下げ見通しにより、EUR/USDは2年ぶりの安値を記録。インフレ低下がさらなる下落圧力を招く可能性。

テクニカル分析と市場の注目点

両通貨ペアは弱気トレンドにあり、インフレデータとFRBの動向が今後の相場形成に大きな影響を与える見通し。

EURクロス:ECBの利下げ観測とインフレデータ待機でEUR/JPYとEUR/USDに圧力

金曜日の取引セッションでは、EUR/JPYとEUR/USDの両通貨ペアが、主要なサポートやレジスタンス付近で推移しており、投資家は来週発表される重要なインフレデータに注目しています。ユーロ圏とドイツの12月の消費者物価指数(HICP)の速報値は、欧州中央銀行(ECB)が次の政策会議で取るべき金利方針に影響を与える鍵となるため、市場の関心が集中しています。

EUR/JPY:165.00を下回るレンジで停滞

1月5日ユーロ円チャート

EUR/JPYは現在、165.00を下回る狭い範囲で取引されています。投資家は、インフレデータの内容次第で今後のECBの金融政策に変化が生じる可能性を見極めようとしています。市場は現在、ECBが今月の会合で預金ファシリティ金利を25ベーシスポイント(bps)引き下げ、2.75%とする見通しを織り込んでいます。しかし、インフレ鈍化が予想を上回る場合、50bpsの大幅利下げ観測が高まり、ユーロにさらなる下押し圧力を与える可能性があります。

日本円(JPY)については、日本の市場が新年の祝日のために休場していることから、ボラティリティは低水準に留まっています。ただし、過度な為替の変動に対して、日本政府が為替市場に介入する可能性が懸念されています。加藤克信財務大臣は、円の変動を注視しており、必要に応じて安定化措置を取る用意があると述べています。

EUR/USD:パリティリスクと政策の行方

1月5日ユーロドルチャート

EUR/USDは木曜日に2年ぶりの安値である1.0220をつけ、金曜日には一時的なサポートを見つけましたが、さらなる下落リスクが残っています。市場では、FRBとECBの金融政策の違いが、EUR/USDの見通しを決定づける要因とされています。

FRBは、2025年中に緩やかな利下げを見込んでおり、年内には2回の利下げが予想されています。一方、ECBは今年中に4回の25bps利下げを行う可能性が高いとされています。これにより、ECBの政策金利は年末までに2%程度にまで低下すると見られています。これらの利下げ観測は、ユーロ圏のインフレリスクが鈍化し続ける中で強まりつつあります。

さらに、ユーロ圏の経済活動の低迷が明らかになっています。S&P Globalの12月HCOB製造業PMIは45.1となり、製造業の縮小が続いていることを示しています。このような経済データの弱さが、ECBの積極的な利下げ姿勢を後押しする要因となっています。

インフレデータの重要性

今週発表されるドイツとユーロ圏のHICPデータは、ECBの次の金利決定に向けた市場の期待を形成する上で重要です。インフレ率がECBの目標である2%を下回る場合、さらに大幅な利下げが検討される可能性があり、これがユーロにとって短期的なネガティブ材料となります。

一方、米国では12月のISM製造業PMIが発表される予定であり、FRBの政策予測に影響を与える可能性があります。市場では、PMIが48.4と予想されており、製造業の活動縮小が続く見込みです。これにより、FRBが年初の会合で政策金利を現行の4.25%-4.50%に据え置くとの期待が強まっています。

テクニカル分析:EURクロスの弱気傾向

テクニカル面では、EUR/JPYとEUR/USDの両方に弱気の兆候が見られます。EUR/USDは1.0620の20週間移動平均線を下回っており、相対力指数(RSI)も売られ過ぎの水準に近づいています。ただし、短期的な反発の可能性は排除できません。一方、EUR/JPYは165.00の心理的レジスタンスが強固であり、これを超えない限り、さらなる下落が予想されます。

まとめ

EURクロスの動向は、今後数日間の主要な経済指標によって大きく左右されるでしょう。特にユーロ圏のインフレデータが、ECBの金利政策に対する市場の期待を再定義する可能性があります。また、米国の経済指標もFRBの次の動きを示唆するため、これらがドルとユーロの動きを形成する重要な要因となります。

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