米国経済の特異な強さが、米国債利回りを引き上げ、米ドルのさらなる強化に寄与しています。今週、米国経済の回復力に対する懸念がほとんど見られないため、トレーダーは、FRB当局が金利に関する市場の予想を調整しようとするリスクに警戒する必要があります。
概要
• 米国の経済成長は、ヨーロッパや日本に比べて引き続き強く、顕著である。
• 強い米国経済データにより、市場はFRBの利下げを期待しています。
• 米国の金利上昇が米ドルのさらなる強化を促しています。
• 来週の静かなスケジュールにより、これらの傾向が継続する可能性があります。
• EUR/USDは現在大幅に売り込まれており、短期的な巻き戻しリスクが高まっています。
• USD/JPYは重要なレジスタンスゾーンに差し掛かっています。
米国経済の強さが米国債の利回りを引き上げ、ユーロや日本円に対する米ドルの強化を支えています。来週、米国経済の回復に疑問を抱かせるような情報はほとんど出ないため、トレーダーはFRBが金利に関する市場の予想を変えようとする可能性に注意を払う必要があります。
先週の動き
18日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は5日ぶりに反発し、前日比で70銭円高・ドル安となり、1ドル=149円50銭で取引を終えました。前日に約2カ月半ぶりの円安・ドル高水準に達した後、ポジション調整による円買い・ドル売りが優勢となりました。さらに、米国の弱い住宅関連指標も円の上昇を後押ししました。
前日に発表された9月の小売売上高を含む米経済指標が堅調な景気を示したことから、円は一時150円台まで下落しました。しかし、市場では150円台という節目を超えたものの、それ以上円安・ドル高が進まなかったため、18日はポジション調整や利益確定の円買い・ドル売りが入りました。
また、18日に発表された9月の米住宅着工件数は前月比0.5%減少し、先行指標である住宅着工許可件数も前月比2.9%減少して市場予想を下回りました。これを受け、米国の長期金利が低下し、日米金利差の拡大予測が後退したことで円買い・ドル売りが進みました。
いまだに強いアメリカ経済
米国経済は引き続き強いパフォーマンスを見せており、他の先進国と比べてもはるかに好調です。アトランタ連邦準備制度のGDPNow予測モデルによると、米国経済は9月の四半期に年率3.4%の成長を見込んでおり、6月時点の3%から加速しています。
もしこの予測が正しければ、失業率がさらに下がり、インフレが上昇するリスクが高まる可能性があります。
先進国ではアメリカ以外経済成長をしていない
米国の経済成長が顕著である一方、他の先進国の経済活動は苦戦しています。シティの経済サプライズインデックスでは、米国の経済データが上位に位置し、ユーロ圏が中央、日本が下位に位置しています。
指数が0を超えると、予想を上回るデータが多いことを示し、0を下回ると予想を下回るデータが多いことを意味します。現在、ヨーロッパと日本のデータが予想を外すことが多い中、米国のデータは予想を上回る傾向が強まっており、その差は大きくなっています。
当初の予測よりもアメリカ経済が弱くならない
米国経済の強さにより、FRBがどれだけ早く、どの程度金利を引き下げるかについての期待が変わっています。トレーダーは、2025年末までに予定される利下げ回数の予想を9回から6回以下に引き下げました。これに伴い、米国の2年債の利回りも長期金利が大きく上昇している影響を受けています。
ヨーロッパと日本の経済が低迷する中、米国の金利上昇により、特に長期債券では米国と他国との利回り差が広がり、米国に有利な状況が続いています。米国の金利は他の先進国に比べてより高いリターンを提供しており、その結果、米ドル資産への投資が増え、ユーロや日本円に対する米ドルの強さを支えています。
今週はトレンドを転換させる材料が見当たらない
来週は米国、ユーロ圏、日本で重要な経済データの発表がないため、中央銀行関係者のスピーチ以外で市場の流れを変える要因はほとんどありません。米国経済が好調なことを考えると、FOMC当局が11月の利下げを見送るよう市場の期待を修正する可能性があり、これが米国の金利やドルをさらに押し上げる要因になるかもしれません。
ユーロドルは短期的に見れば売られすぎている
EUR/USDは10月に米ドルの強さに大きな影響を受け、9月に維持していた上昇トレンドから外れ、1.1200以上から1.0850以下まで下落しました。それ以来、50日と200日の移動平均線や、いくつかの重要なサポートラインも突破され、非常に弱い状態に見えます。
しかし、RSI(14)が27.25となっていることから、EUR/USDは短期的に売られすぎの状態にあるようです。相場が一方向に動き続けることはないため、中期的には反発局面で売りたいという見方をしていますが、もし明確な価格シグナルやチャートパターンが現れれば、短期的なロングポジションを取る可能性もあります。特に、底値のサインが見られれば、価格が急反発するリスクが高まるでしょう。まだその時ではないですが、注意を払っています。
下値のサポートは1.0800にあり、さらに1.0755付近には長期の上昇トレンドのサポートがあります。一方、上値では、200日移動平均線付近の1.0895や、1.0955で抵抗に直面する可能性があります。
まとめ
米国の債券利回りが継続的に上昇しているため、USD/JPYは149円80銭から152円の間で強い抵抗に直面しています。特に、150円90銭付近には水平抵抗と200日移動平均線があり、今週は重要な経済指標がないことからこのゾーンを突破するのが難しいかもしれません。
それでも、MACDやRSI(14)などのモメンタム指標が強気のシグナルを示しているため、明確な反転シグナルやパターンがない限り、価格が下がった際には買いを検討する傾向があります。
もし151円90銭の抵抗ゾーンを上に抜けることができれば、次の抵抗はほとんどなく、155円に向かって急上昇する可能性があります。ただし、米ドル/円が米国の債券利回りの上昇を伴わなければ、日本政府の当局からの円を支えるための介入警告が再燃する恐れがあります。
今週はトレンドの材料が乏しいため、ドル円、ユーロドル共に調整局面となるでしょう。